農業経営の安定を届ける農業共済

令和5年1月4週号

「学校では教えられないことを伝えたい」 農業を通じた教育活動
愛知県美浜町 森川 美保(みほ)さん

 森川美保(みほ)さんは、愛知県美浜町で「心の畑も耕せる農家でありたい」という志のもと、農業体験等ができる「季の野の台所」を営んでいる。森川さんは一年を通じて様々な活動を行っており、季節によって体験できることは様々だ。たとえば、収穫した大豆を材料に、手作り味噌・醤油づくりの体験教室を食に関心のある方向けに開催している。自宅に併設されている低温冷蔵庫には、教室に参加した人が仕込んだ味噌の甕(かめ)が出来上がりの時を待っている。


桑の木の剪定作業をしながら活動内容について話す森川さん


 「最初は家庭科の教員を志していました。しかし、学校では教育課程に沿ったことしか教えられないので、自分の伝えたいことと違うと思ったのです」自身の活動のきっかけを森川さんはそのように振り返った。
 最近では、自身で蚕を育てて繭を作り、その様々な活用方法を伝えている。活用方法としては真綿や絹糸だけではなく、繭を溶かし込んだシルクエッセンスやシルク石鹸と様々な活用方法が挙げられる。蚕の餌に必要な桑も栽培するが、周囲の畑で殺虫のための農薬が使われる環境では飼料としての桑は栽培できない。そのため、桑畑の周囲の田を森川さんが借りて稲作を行い、桑の安全性を確保している。


作った繭とその活用品。
左手前からシルク石鹸、藍で染めた紬糸、繭玉、シルクエッセンス
奥側は真綿。


 「完成品が当たり前に手に入る世の中だけれども、その生産過程にも注目してほしい。生産物そのものだけではなく、生産の過程を伝えたい」と森川さんは意気込みを語った。