農業経営の安定を届ける農業共済

令和5年7月4週号

新城産の良さを知ってもらうために
新城市 松山和彦さん

 新城市に事務所を構えるOydenガーデン代表、松山和彦(まつやま かずひこ)さん(52)。
「消費者のニーズに答えられるようになりたい」と真剣に話すのは、新城市でサツマイモ6㌃、ハッカ7㌃、ナス・青パパイヤ15㌃、野菜苗2.5㌃を作付けしている松山和彦さん。就農前は、20年以上小学校教諭として働いていた。「農業は大変というイメージだったが、食べることは人間の根幹であるため、それを支える農業に対して憧れと尊敬の眼差しで見ていた。」と語る。地元の良さを生かした事業を行おうと考えた時、新城市の中山間地域の現状を目の当たりにしたことや、農作業の手伝いがきっかけで就農を決意した。

 「素人なりに勉強しながら農作業を行うが、農業はすべてにおいて難しい。」と頭を悩ます。農業は、知識も技術も必要で、自然相手であり、作物が必ず売れるとも限らない。「厳しい中で営農を続ける農家を尊敬している。」と語る。農業の難しさに対して、松山さんは諦めなかった。農業を始めて3年経つが、生産から販売までの流れが確立してきた。
 「自分が作った作物を指名して購入してくれることがとても嬉しい。」と話す。直売所のグリーンセンターでは、松山さんの白いナスの苗を購入するために、80㎞離れた知多市から買いに来る消費者もいる。「消費者のニーズにピンポイントで答えられることがたまらなく嬉しい。」と笑みをこぼす。それが消費者にフィットしたのが「馬防柵さつまいもステッィク」である。長篠の戦いに因んだ商品で、食べながら歴史を学ぶだけでなく、芋スティックを包装箱の穴に挿すことで、馬防柵を再現して戦国武将気分も味わえる。新城市の農作物、歴史、魅力を発信できる商品だ。
 「なくてはならない農業を、事業としてなりたたせ、農業を残していきたい。」と今後の目標を語る。現在の最先端のものを取り入れた農業は目指していない。誰でも作れて、誰でも食べられる、「こだわらないことに、こだわった農業」という気持ちで取り組んでいる。さらに、地元のお土産や魅力を発信し続け、耕作放棄地を有効活用しながら、規模拡大で法人化を目指す。松山さんの挑戦はまだ始まったばかりだ。今後の新城市の農業を担う若手に期待が膨らむ。


ひとつずつ丁寧に梱包を行う