農業経営の安定を届ける農業共済

令和5年10月特集号

「代々続く林業の根幹 苗木作りその先にあるもの」
 大口町 前田樹苗園


大口町の前田樹苗園の代表土谷 由希子さん(つちや ゆきこ)さんは、昭和22年に創業した曾祖父から数えて4代目となる。林業用の苗木生産は、祖父が一度やめたが、苗木生産者が県内で誰もいなくなるのを避けるために80歳を過ぎて再度始めた。コンテナで栽培するという手法は祖父が愛知県内でいち早く導入させた栽培方法だ。


ヒノキの苗を手に


コンテナでの栽培は、省スペースでの栽培、移植の利便性、苗の根が絡み合う根巻きの解消等メリットが多い。前田樹苗園では、2月から3月に一年生苗をコンテナに移植、肥培管理の後、その年の秋または、次年の春に出荷を行う。土谷さんは当初、三代目に当たる母の後を継ぐ前、別企業で事務を行っていた。三人の子供が成長して、短時間勤務が終了した事をきっかけに入社を決意。「当初、母の後を継ぐ気はなかった。そのため、入社の際に挨拶で後継者として紹介されたのは驚いた。」と笑って話す。


コンテナ苗は、特注品で珍しい形状をしている


今もよく聞く母の言葉、「みんながいてくれるおかげ。」は、土谷さん自身も大切にしており、従業員に接している。その結果、令和4年度全国山林苗畑品評会 農林水産大臣賞を受賞した。収入保険加入の決め手は、従業員のけがや病気にも対応しており、先が読めない中、いつどんなリスクが発生しても安心できる点だという。


雑草が多く生えるため、草取りは必須

「今後は、コンテナ苗の栽培等の普及、少花粉苗木(スギ、ヒノキ)の出荷量増加などを目標としたい。」新しいことに挑戦しつつ、代々の教えも守る。林業と種苗の発展は今後も続く。
(新宮)