農業経営の安定を届ける農業共済

令和6年5月4週号

次世代まで続く農業のために
現場改善で品質向上


西尾市米津町の榎本浩規(えのもとひろのり)さん(55)は「株式会社グリーンフィールド」の代表として、35㌶の水稲を中心に麦、大豆やキャベツを栽培している。榎本さんのチャレンジ精神でこれまで様々なことに取り組んできたが、近年これまで以上に大きな挑戦をはじめている。
35歳で父から農地を譲り受けた榎本さん。同時期に少しずつ従業員を雇いはじめ、6年後に法人化。それまで行っていなかったキャベツ栽培にも取り組むなど、常に新たなことに挑戦してきた。また、以前トヨタ自動車の「豊作計画」を導入したことが、現場改善を考えるきっかけになったという。「米津町は麦・大豆にむいている土地が少なく、作業に通常の何倍も時間がかかってしまい、水稲にかける時間が少なくなっていました。そこで、何にもっと時間をかけたいかを考え、改善することにしました」と榎本さんは話す。


出荷するもち米の苗をチェックする榎本さん


最近では、水稲は直播き中心にすることで、育苗にかける時間を減らした。その分、中干しまでに稲の様子を見ながら肥料を加えていくなど、手間ひまをかけて品種の良さを引き出す栽培を行う。


ドローンで雑草の種類を識別し、適した防除作業が効率的に行える方法も導入した。「この土地でこれ以上農地を広げていくことは難しい。限られた土地でどのように継続していけるのか考え、品質の向上によってお客さんに選んでもらえるお米を作ることで、収益を最大限まで上げることを目指しています」と目標を掲げる。


イラスト化してロゴに使用している飼い犬のジャックくんと


今後は緑肥栽培にも取り組む。菜の花やひまわりを植えることで美しい風景が広がるようになる。「近所の人たちに喜んでもらえる場所になるといいと思っています。市内の工業化が進む中で自分の利益だけではなく、周りからも必要だと思ってもらえる農地にしていきたいです」と考えている。
昨年から息子の龍太郎さん(23)も就農。次世代までこの町で農業を続けていける状況にしておきたいと榎本さんは語る。近隣の農家や協力してくれる人たちと輪を広げながら、みんなでいい農業をつくっていくための将来を見据えている
(藤井)