農業経営の安定を届ける農業共済

令和4年3月2週号

農業とソーラーのコラボ
『有限会社こだわり農場鈴木』の代表鈴木晋示(スズキシンジ)さん(53歳)

 豊川市音羽地区にある『有限会社こだわり農場鈴木』の代表鈴木晋示(スズキシンジ)さん(53歳)は、は、米(音羽米)、麦、大豆、キャベツ、菌床シイタケを生産し販売する以外にも、農地に太陽光パネルを設置し、同時に発電事業を行うといった取組みをしている。


 「ソーラーシェアリングを活用して、お米を生産する時に使用するエネルギーを、再生可能なエネルギーで少しでもまかなえるよう取り組んでいます。」と話す鈴木代表。
 この事業を始めたきっかけは、11年前の東日本大震災の原発事故である。直接的な被害がなかった地域でも長期に渡り停電等のエネルギー供給に支障が発生した。愛知県も例外ではない。そこで鈴木代表は、このまま原発に頼っていてはいけないと思い、再生可能エネルギーであるソーラーパネルの導入を検討した。自宅屋根から始めたが、さらに拡大して余剰電力を売電し社会に貢献できないかと考えた結果、田んぼの畔にソーラーパネルの設置を決めた。
 よく農地で見かけるソーラーパネルは、田畑の真上に設置されていることが多く、大型機械の乗り入れの妨げになったり、作物が陰になり日照不足による生育への影響が出ることもある。そこで、音羽地区の田んぼの特徴でもある広い畔を活用することにした。
 通常の畔は、幅60㎝程度であるが、音羽地区では3~5mとかなり広いところが目立つ。広いが故、畔の草刈りは労力を要し、それに費やす時間も馬鹿にならない。ソーラーパネルの設置により、畦の多くが陰で覆われ、雑草の生え方も鈍ることで、草刈りの手間が大幅に削減。その分、本来の農作業に集中できるという。
 「エネルギーも、今以上に個々が作っていく時代になっていき、農業と再生可能エネルギーの融合がますます加速していくのではないか。」と鈴木代表。自らの土地を活用してエネルギーを生み出し、それを使って農作物を作るという仕組みを『こだわり農場鈴木』では実現させている。まさに、日本古来からある農業と、近代技術のソーラー発電とのコラボレーションである。


畦に設置したソーラーパネルと鈴木代表。