農業経営の安定を届ける農業共済

令和3年7月4週号

アプリで人材マッチング 豊橋市発 全国展開へ
豊橋市 株式会社アグリトリオ

 農業経営の負担を軽減する新たな人材マッチングサービスが注目を集めている。豊橋市の株式会社アグリトリオが提供する「農How」は、アプリ上で成立する単発型農業求人サイトで愛知県を中心に15県下で展開中。必要な時期だけ人手が欲しい時に掲載費無料で人材を募集でき、時給と1時間あたり300円の手数料を支払う。

 最大の特長は、定植、収穫等の作業内容が動画でマニュアル化されている点だ。現在までに40品目に対応しており、働き手は事前にマニュアル確認し作業に臨むため、作業内容を教える手間を軽減できる。
 代表取締役の石川浩之(いしかわひろゆき)さん(37)は、「深刻な人材不足に苦しむ農業者を救いたい」と話す。同社は豊橋市で自動車部品製造を行う武蔵精密工業株式会社の新規事業創出プロジェクトから発足し、子会社として独立した。ベテランの持つノウハウを動画でマニュアル化することで、未経験者が気軽に農業に携わることができるため、人材不足の解消や新規就農のきっかけとなる可能性を秘めている。「今までにないやり方で、地方にこそ需要がある」と石川代表は意気込む。


「サービスが気になる方は『アグリトリオ』で検索!」と石川代表


 田原市吉胡町で輪菊を生産する金子洋司(かねこようじ)さん(44)は、定植期に「農How」を月2回程度利用している。金子さんは「チラシで募集してもなかなか人が集まらないが、『農How』では必要な時に人を集めることができ、多数の応募の中からよりスキルの高い人材を選ぶこともできる」と話す。


Youtubeで閲覧する定植マニュアル。品目ごとに細かな説明がされている。


「農How」のマッチング率は99%。農業者登録数250人に対し、5000人の働き手が得意作業や経験回数をPRし、両者の満足度が高いマッチングを実現する。同時展開中の、福祉事業所との請負型マッチングサービス「農Care」により、人材不足解消に拍車をかける。
 石川代表は「将来は放棄耕作地を活用した新規就農者サポートも進めたい。全国展開後に、アジアへサービスを広げることが目標」と語る。新たなビジネスモデルを武器に、若きリーダーが農業のために躍動している。(坂井)