農業経営の安定を届ける農業共済

令和2年2月2週号

農薬と化学肥料を不使用で 高栄養価の野菜を
美浜町  (株)出口崇仁農園 出口崇仁代表


ニンジンが入ったコンテナボックスを持つ出口代表。コンテストで受賞するほど栄養価が高い

 「安全・安心で高栄養価な野菜が人々の健康につながると信じています」と話すのは、美浜町にある株式会社出口崇仁農園の出口崇仁代表(34)。同社では農薬や化学肥料を使用しない野菜栽培を行っている。タマネギやニンニク、ナス、スナップエンドウ、ピーマン、ケールなど計3㌶ほどで栽培し、中でもニンジンが作付面積の8割ほどを占める。

 出口代表は人々の健康に貢献したいという思いから、栄養士の資格を取得。就農前は企業内の食堂に勤めていた。
 しかし、輸入野菜や冷凍食品を取り扱っていく中で、栄養価の高い野菜を自ら栽培し、広めたいと考え、就農を決意。愛知県内で自然農法を実践する農家の下で研修を受け、2012年に新規就農した。
 

コンテストで最優秀賞も

 「研修先で栽培していたニンジンのおいしさに衝撃を受け、自分もこの感動を伝えたいと、ニンジン農家を目指しました。しかし、就農して初めの3年間は納得できる作物ができず、試行錯誤の日々でした」と振り返る。自然資源を活用した栽培方法を実践した結果、栄養価の高い野菜が栽培できるようになった。
 作物の成分を調べるため、オーガニック・エコフェスタ栄養価コンテストに出品。16年にはニンジン部門で最優秀賞、18年にはピーマン部門で最優秀賞を受賞した。


「農薬を使わずに、高栄養価の野菜を提供したい」と出口代表

 出口代表は「『出口さんのニンジンで体調が良くなった』との声をいただく機会もあり、人々の健康につながっていると実感しています」と話す。今後は規模拡大のため、農地集約や大型機械の導入で効率化を図りつつ、研修生を受け入れ、同じ志を持つ仲間を見つけていきたいという。
 「今の野菜は昔に比べて栄養価がとても低くなっていると感じます。栄養価の高い野菜を生産していくことで健康な人を増やし、自然資源を活用して農薬を使用せずに栽培することで、地球環境への負荷も減らしていきたい」と意欲を話す。(加藤、野村)