令和5年5月4週号
アイメック農法で甘みと愛情が弾けるトマトを
犬山市シルバー人材センター会員の小川正博さん
犬山市シルバー人材センター会員の小川正博(おがわ まさひろ)さん(72)。犬山市の農政課職員を退職した後、会員となり、現在は会員の指導にあたる。
犬山市橋爪東でトマト13㌃を栽培、販売するシルバー人材センターは、分業制で栽培から販売まで40名が携わっている。2015年から市と連携して計画を進め、農業分野に参入。未経験の高齢者でも生産しやすく、高品質のトマトが作れる新農法「アイメック」を採用している。
アイメック農法とは、土の代わりにハイドロゲルでできた薄いフィルムに根を張らせ、フィルムに浸透する養液で水分ストレスをかけて栽培する方法。環境にやさしく、水の少ない地域でも栽培できるのが特徴だ。「フィルムによって養液の供給が制限されるため、トマトは一生懸命に浸透圧を高め養液を吸い上げようとする。その結果、たくさんの糖分を蓄えるので、甘くておいしいトマトが育つ」と小川さん。栽培品種は比較的栽培しやすい「フルティカ」。毎年8月には、県内外から同農法の一部の農家さんが犬山市に集まって、品質向上の勉強会を行っている。
また、地域の若い発想力や知識を生かしてトマトを販売する取り組みを行っている。マーケティング戦略については、名古屋経済大学の学生と一緒に考え、名古屋芸術大学の学生とは、商品名「おいしい花子」の命名やパッケージデザインを制作した。市内の保育園や小学校の子どもたちに試食してもらったところ、「甘くておいしい」と喜びの声が上がった。「花子」には、こうした若い力も入っていると小川さんは話す。
シルバー人材センターの会員は皆、「花子が生きがい」、「子育てと同じ」、とやりがいを感じており、「あの子、この子」と呼んで、愛情をこめて育てているという。
今後は、糖度の高いものを厳選した「花子プレミアム」の販売を計画している。「価格は少し高めですが、味は格別。会員の皆さんが我が子のように育てた花子をぜひ一度味わってください」と笑顔で語った。