農業経営の安定を届ける農業共済

令和5年3月2週号

ブランド野菜「奥三河ほうれん草」
新城市作手地区 竹下健二さん

新城市作手地区でホウレンソウ42㌃を栽培、繁殖和牛を飼育する竹下健二さん(51歳)。元農協職員で、ホウレンソウ栽培を始めて4月で11年になる。愛知県では珍しい周年栽培を行い、季節によって品種を変えながら栽培している。生ホウレンソウの他に、乾燥ほうれん草やパウダー状に加工したものも販売している。

竹下さんは「奥三河ほうれん草」として生でも食べられるホウレンソウを栽培している。15年前に、病気で入院した時の病院食に感動し、「栄養のあるおいしいものを食べることは元気になるために必要なこと。食でみんなを元気にしたい」という思いが芽生えた。農協の営農指導員として、作手地区で新たに取り組むホウレンソウ栽培の会議がきっかけで、実証実験を始めた。2012年に農協を退職し、ホウレンソウ生産者として新たなスタートを切った。

葉が肉厚で旨味と甘味が強い奥三河ほうれん草。おいしさの秘密は、1日の寒暖差が大きい作手地区の気候もあるが、最も大きな要因は、こだわりの土づくりである。「栽培を始めた当時はとても売れるものではなかった。土づくりに力を入れて、安定するまで3年かかった」と苦労を話す。現在は試行錯誤を重ね、化成肥料だけでなく、ぼかし肥料を数種類ブレンドしたものを使っている。「おすすめの食べ方はサラダなど生で食べること。ホウレンソウ特有のえぐみを抑えるように作っているため、本来の味を楽しめる」と自信を持って話す。
 現在は地元の販売店の他、レストランやホテルなどにも卸している。さらに、小学校では、給食に「作手ポパイ丼」として登場したことや、竹下さん自らホウレンソウについての授業も行っている。「味に敏感な子どもも喜んで食べてくれる。子供の素直な意見が一番うれしい」と笑顔で話す。
「関係各所やメーカーなど多くの人に支えられて今がある。自分が今やっていることは、奥三河ほうれん草の土台作りだと考えている。今後はさらに販売場所を増やしていきたい」と意欲的だ。


「みんなに奥三河ほうれん草を食べてもらいたい」と話す竹下さん