農業経営の安定を届ける農業共済

令和4年7月4週号

適地適作で経営改善 持続可能な農業を目指して
中野昭さん(ナカノ アキラ)(38)

「昔から栽培してきた作物を全て変えるのは決心が必要でした」
そう語るのは、豊橋市の中野昭さん(ナカノ アキラ)(38歳)。豊橋市で、ブロッコリー180アール、たまねぎ70アール、キャベツ70アールを栽培している。
露地野菜を育てる以前は、父親と一緒にキウイフルーツ50アールを主で栽培していた。§E
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 中野さんは、工業系の大学を卒業後、約3年金属加工会社に就職したのち、27歳で、父親を手伝う形で就農した。
 転機は、35歳の時に父親が農業に従事出来なくなってしまった事だ。
 父親の後を継ぎ、中野さんが農業経営を行うこととなったが、問題があった。
豊橋市は、1年を通じて温暖な気候で、秋冬作の作物を栽培しやすい。一方で、台風の影響を受けやすい地域でもある。
「キウイフルーツを育てるには人手が足りない。地域環境も適していないので、木が枯れたり、風の影響で実に傷が付いてしまっていた」
 このままでは、経営が破綻すると感じて、環境に適した、露地野菜を育てることを決心した。
 その時の心境を「今まで培ってきた技術が全く通じない。不安で胸が一杯でした」と語る。
秋冬に収穫する作物は、単価の乱高下が激しく、安定しない。夏に栽培するたまねぎは単価が安定しているので、複数の作物を栽培してリスク分散を行い経営の安定化を図った。
 また、災害に強くするために育苗方法にも力を入れた。 
 通常は、セルトレイで育苗を行い、適期になったら、畑に定植をする。
 一方、中野さんは露地苗と呼ばれる方法を行っている。露地苗は、育苗を畑で行い、適期になったら、苗取りを行って、再度定植するという方法だ。
 「この方法は、セルトレイで育苗したものと比べて、苗が大きく、丈夫なため、環境リスクに強くなります」と話す。
 今後の経営方針については「規模拡大と販路の拡張を行い、持続可能な経営を目指していきたい。規模を拡大すれば、災害や単価の影響が大きくなる。経営を安定させるために、収入保険の加入も検討している」と笑顔で話す。


たまねぎを収穫中に笑顔で今後の経営方針について話す中野さん