農業経営の安定を届ける農業共済

令和3年12月2週号

独自性の農産物を追求
碧南市日進町 鈴盛農園(すずもりのうえん)
鈴木啓之(すずきひろゆき)代表(38)

 碧南市日進町の「鈴盛農園(すずもりのうえん)鈴木啓之(すずきひろゆき)代表、38歳」は、8名のスタッフで3㌶のニンジンと、2・5㌶の水稲、その他露地野菜を栽培している。「農業をカッコよく」をモットーに、メディア出演や講演活動も積極的に行う。


カラフルにんじんを手に鈴木さん

 25歳の頃、生活に深く根差した農業に魅力を感じ、就農を決めた鈴木さん。農家だった祖母から、「本気でやるなら勉強しなさい」とアドバイスを受け、3年の研修期間を経た後、鈴盛農園を創業した。
 創業当時は40㌃の畑しか確保できず、ニンジンを栽培しても量が取れないため、「採算が取れず必死でした」と話す鈴木さん。「単価を上げるため、オリジナルパッケージの製作など、ブランドとして確立することを意識しました。初めは直売所へ持ち込んでも、値段が店のイメージに合わないからと、品物をバックヤードへ下げられてしまった経験もあり、苦労しました」と、当時を振り返る。
 その後は、独自の魅力を持ったニンジンを追求し、海水塩を使った栽培方法により、糖度が高く発色が良いスウィートキャロットリリィや、見た目からも楽しめる7色のカラフルにんじんを栽培し、注目を集めている。「カラフルにんじんは栄養素の割合や食感がそれぞれ異なります。最近では、一般的なニンジンの約68倍の抗酸化作用を持つ黒ニンジンが人気です」と話す。


自社産のニンジン。月曜には農園直売も行っている


 そんな中、3年前の台風で大きな被害を受け、発芽していたニンジンが1日で流されてしまった。「この時は経営的にも厳しく、リスク分散していれば被害を軽減できたのではないかと考えました。」その経験から、翌年には農業から一歩離れた「ダンゴヤハチ」として、農産物で作った餡を美しく彩った「だんごケーキ」の販売を開始した。また、今年からは半田市で水稲作付もスタート。スマート農業を活用し新たな挑戦を続けている。
 「これからも栽培の研究を続けて、野菜の機能性を高めることで、健康維持のお手伝いができればと思います。また、品目を限定せず、農業のおもしろさや魅力を様々な角度から発信していきたいです」と意欲的に話す。
 (吉野、岡本)