農業経営の安定を届ける農業共済

令和3年8月2週号

菊の新たな方向性を模索
西尾市吉良町 黒野浩資(くろのこうすけ)さん

 「菊の新たな需要を開拓し、裾野を広げていきたい」と話すのは、西尾市吉良町の黒野浩資(くろのこうすけ)さん(45)と淳子(じゅんこ)さん(46)ご夫婦。ロイヤルマム(西三河南部菊共選組合)に所属し、53㌃の耕地で「精の一世(せいのいっせい)」や、「神馬(じんば)」をはじめとした菊の周年栽培を行っている。
 現在、新型コロナウイルスの影響により、葬儀の場が家族葬へ縮小され、輪菊農家は出荷に大きな打撃を受けている。浩資さんは現状について、「どれだけ質の高い菊でも、作れば売れる時代は終わった」と話し、部会全体で、地元産花きに親しんで貰う新たな機会を模索中だ。
 そんな中、今年6月にロイヤルマムから西尾市一色町の一色南部小学校へ、250本もの白菊を提供した。白菊の切り花を専用の着色剤を入れた水につけ、花が水を吸い上げる力を利用し、花弁を色づかせる「染め花」として活用して貰うためだ。


菊の「染め花」


右から浩資さん、染め花を手に那桜ちゃん、淳子さん


 黒野さんの自宅でも、娘の那桜(なお)ちゃん(10)が、夏休みの自由研究として染め花に挑戦しており、淳子さんは「着色剤を混色したり、時間の経過によって、様々な色の花を作り出せるところが面白い。子供でも興味を持って花を観察してくれます」と、笑顔で話す。
 浩資さんは、「今まで輪菊は、葬儀の場や仏花として使われることが多かった。その固定観念を崩して、身近な花として親しんでもらえたら」と話す。
(岡本)