農業経営の安定を届ける農業共済

令和3年3月2週号

「ビジネスとして農業を成功させたい」と明るく話すのは、東郷町にて就農4年目を迎える松田洋幸さん(45)

現在、施設と露地栽培にて、ホウレンソウ、小松菜、水菜、人参、キュウリといった多品目の有機野菜を栽培している。
松田さんが就農したきっかけは、農業という仕事に大きな可能性を感じたからだ。高齢化などで農業従事者が年々減少する一方で、消費者のニーズは多様化し増加している。そこに農業の大きなビジネスチャンスを感じたと語る。
松田さんの農業の特徴は、名古屋市に住み、東郷町で営農をしていることだ。家の近隣で畑やハウスを管理する農家が多い中で、家から職場までサラリーマンのように通勤して通うという新しい農業のスタイルもあっていいのではと考えた。早朝から遅くまで農作業をするのではなく、決まった時間に、効率的にいいものをつくる「スタイリッシュな農業」をモットーとしている。
就農地に東郷町を選んだ理由は、一緒に農業を行う両親と自分が通いやすい場所であり、土地が豊かで、消費者が近い都市近郊農業を行えることから、販売先の開拓がしやすいためだと話す。


ハウスで栽培する小松菜と松田洋幸さん。有機栽培は害虫の防除が大変だと語ってくれた。


小松菜の収穫作業中。松田さんは9月下旬~初夏にかけて小松菜の出荷を行っている。

個人が新規参入するにはハードルが高い農業だが、新規就農者向けの支援制度を活用し、三重県の大規模有機栽培農家で研修を受け、自身でも有機栽培を始めた。当初は、研修先との土や環境の違いから栽培が上手くいかず、作った野菜を破棄することになることもあった。そのような苦労の末、現在では、有機JAS認証を取得し、販路を拡大しながら高い評価を得ている。
「取引先に評価をされれば取引が増え、消費者の手に渡る野菜も増える。そのことがビジネス的な達成感につながる」と松田さんは語る。
今後は、規模の拡大はもちろん、有機栽培の枠にとどまらず、ニーズに柔軟な対応をしていくことで、農業の可能性を広げたいとのこと。
「農家の数だけ農業の形があり、どれが良いというわけではない。自分が新しいスタイルとして誰かの農業を始めるきっかけになれれば嬉しい。」と話してくれた。(横江)