農業経営の安定を届ける農業共済

令和3年1月4週号

愛知県が開発した柑橘の新品種「夕焼け姫」の苗木が、東海市の圃場で試験栽培されている。
地元のみかん農家で構成される「東海市果樹振興会マルチ栽培夕焼け姫部会」に、その理由を伺った。

「東海市は元々、露地みかん栽培が盛んな地域」と話すのは、部会長の荒谷(あらたに)芳興(よしおき)さん(46歳)。農家数こそ多いものの、みかん産地としての知名度は低く、近年は栽培を取りやめてしまう農家も目立っていた。そこで東海市果樹振興会、JAあいち知多、東海市役所らが一丸となって協力し、みかん生産地としてのブランド化を目指すプロジェクトが始まった。
 その過程で注目したのが新品種である「夕焼け姫」だった。夕焼けのような濃いオレンジ色をしているため名づけられたこの柑橘は、愛知県農業総合試験場で開発された。酸味と甘みを程よく兼ね備えた、とてもおいしい品種だ。果皮が剥きやすく、食べやすさにも配慮されている。


試験栽培中の「夕焼け姫」で一番生育の良い樹を紹介してくれた部会長の荒谷芳興さん


 夕焼け姫部会は令和2年春に発足したばかり。部会員が苗木を購入する際には、市から費用補助がある。実際に苗木が届くのは注文してから2年後のため、その間に、東海市の試験栽培圃場で栽培方法についてじっくり研究していくとのこと。今は100本植えられているが、令和3年3月には、さらに250本の苗木を植栽定植する予定だ。


東海市の試験栽培圃場
令和2年の春に100本の「夕焼け姫」が定植された


 今後の展開について荒谷部会長は、「ブランド化で付加価値を生み出し、地元のみかん栽培の活性化に繋げたい。夕焼け姫にブランド名を付け売り出すことも考えている」と熱く語ってくれた。(徳山)