農業経営の安定を届ける農業共済

令和2年9月4週号

『夏場の冬瓜長期出荷・収入を切らさず安定経営を目指す』
豊橋市 朝倉寛晶さん(47)


5月下旬から11月下旬の長きに渡り安定出荷を行うため、収穫した冬瓜はハウス保管し出荷する。

「夏場に冬瓜を栽培することで年間を通して収入を確保できる」と話すのは、豊橋市小島町の朝倉寛晶さん(47)。JA豊橋南部琉球冬瓜同好会に所属し、夏に冬瓜120㌃、冬はブロッコリ―200㌃、キャベツ150㌃、白菜80㌃を栽培している。

 思い通りに経営できる農業の魅力と、気候や出荷における愛知県の強みに気づき、サラリーマンを経て実家の農業を継いだ。就農当初、冬野菜価格の下落で不安定な経営状態が続き苦労したという。その経験から、経営安定のためには年間を通した収益確保が重要と考え、夏作の冬瓜栽培に注力してきた。
 「収入が途切れないことで経営が安定し、思い切ったチャレンジができるようになった。」と朝倉さんは語る。
 また、収入保険に加入したことで、経営努力では防げない自然災害等に対しても備えができたという。雇用体制も家族労働からの変更を考えており、業務の効率化と女性が働きやすいような環境へのシフトを行っている。


果実に雨による水痛みや傷がつかないように幼果の段階でマットを敷く。

 『付加価値を付け高値で取引』
 夏の収入源となる冬瓜は、同好会の厳しい出荷基準により4段階の品質に選別され、一般消費者向け量販店から、京都の高級料亭まで取引される。高品質なものは「高級冬瓜」として、1箱5000円の値が付くこともあるという。「出荷基準は長年に渡り買い手の求める条件を少しずつ取り入れたことで、他の地域に比べ厳しいものとなっている」と語る。
 また、同好会選抜の早生晩生2種類のオリジナル品種を使用し、ハウス栽培と露地トンネル栽培を組み合わせることで、沖縄産冬瓜の出荷が終わり始める5月下旬から11月下旬までの長期出荷を可能にしている。
 「出荷基準にきちんと合った冬瓜を出荷することを一番大事にしている。購入者により求められる品質は異なっており、ニーズに合致した冬瓜を的確にお届けする必要がある。さらに夏から秋にかけての長期的な安定供給が信頼獲得に繋がる」と話す。
 新型コロナウイルス感染症の影響で一般消費者にもっと冬瓜を知ってもらう必要性を感じたという朝倉さん。クックパッドで冬瓜レシピの紹介や、インスタグラムでの栽培動画の公開といったPR活動も積極的に行っている。
「冬瓜はまだマイナーな野菜。栽培するだけでなく食育につながるような活動も行い、子供から大人まで幅広い人に親しんでもらいたい。冬瓜には可能性がまだまだある。」と今後を思い描く。
(原)