農業経営の安定を届ける農業共済

令和2年7月4週号

知多半島産使った「知多ベジセット」販売
苦境に立つ農家を支援
名古屋市 ㈱yaotomi 


左から㈱yaotomiの岡田さん、佐口さん、木村さん。

「農家さんを支援する取り組みを通じて、知多半島の魅力をより広く伝えていきたい」と話すのは、株式会社yaotomiの営業に携わる佐口健太さん(26)。株式会社yaotomiは、新型コロナウイルスの影響により、出荷先が減少している生産者を支援するため、知多半島の野菜を使った「知多ベジセット」を販売している。


知多ベジセット。価格は500円(税別)

 知多ベジセットは、知多半島で生産された旬の野菜をメインに詰め合わせた商品で、料理研究家監修のレシピも付属される。6月初旬に販売されたセットでは、サニーレタス、ルッコラセルバチカ、ミニトマト、ニンニク、タマネギが入っており、他の具材や調味料を足し合わせて「サバ缶とルッコラセルバチカのメープル粒マスタードマリネ」を作ることができた。
 自宅で料理をする機会が増えている現状を踏まえて、レシピの調理時間は15分程度を目安に設定し、家事の負担が少しでも軽減できるように工夫されている。今年4月より名古屋市内のスーパーマーケットで販売を開始し、消費者から好評を得ている。地元の野菜のおいしさに魅了されて、単品で販売する野菜も手に取ってもらえる機会が増えたという。

 同社は、農産物の卸売事業や、知多半島の南知多町にある100aの自社農園での野菜の栽培を業務の中心としている。温暖な気候と、ミネラルを豊富に含んだ土壌を活用した、トマピーと呼ばれる新種のパプリカの生産が特徴だ。
 また、耕作放棄された土地を利用して、菜の花やヒマワリを栽培している。その種から採取したオイルを、食用油や化粧品として製品化するという、新しい取り組みにもチャレンジしている。
 地域とともに順調に歩んできたが、卸売事業で契約する多数の農家が新型コロナウイルスによる影響を受けた。飲食店などへの販路を失い、苦境に立たされている生産者にとって、知多ベジセットの販売は大きな励みになる。季節に合わせた内容に変えて、今後も継続される予定だ。

 「大変な時期だからこそ農家さんの力になり、食の魅力や大切さを見直していきたい」と佐口さんは話す。(石上)