農業経営の安定を届ける農業共済

令和元年11月2週号

ITツール「豊作計画」導入 圃場管理を可視化
愛西市 ㈱戸倉トラクター 横井 千広代表


㊑戸倉トラクターでは、農薬散布用ドローンやIT管理ツールを積極的に導入している

 「圃場管理の可視化や作業時間短縮のための新技術の導入で、労働環境にとどまらず、若い人が抱く、農業界で働くイメージも変わると思います」と話すのは、愛西市戸倉町にある「株式会社戸倉トラクター」の横井千広代表(28)。同社では受託事業を含めた水稲50㌶と、麦・大豆10㌶を栽培している。農薬散布用小型無人機(ドローン)や農業IT管理ツール「豊作計画」を導入し、作業の効率化を図るとともに、働きやすい職場環境づくりに取り組む。

作業状況をスマホで把握 効率的な人員配置に


圃場状態を確認しながら、スケジュール管理ができるようになった

 横井代表は外国語大学を卒業後、農業法人に就職。半年勤めた後、父の急逝をきっかけに家業を継ぎ、2017年2月に法人化した。
 代替わりした時に感じたのは、圃場の状態が十分に可視化されておらず、圃場管理は基本的に父親の長年の経験で行われていたことだ。「従業員に作業指示を出す際、どの圃場を指すのか曖昧な状態では効率が悪い」と考え、「豊作計画」を導入した。
 このツールを導入することで、栽培品目や圃場の位置、作業状況をスマートフォンなどで確認でき、効率的な人員配置が可能になり、作業ミスも減ったという。

ドローンで空散 本格運用へ試行中


「ドローンは組み立ても簡単です」と横井代表

 農薬散布用ドローンは2018年に導入し、本格運用に向けて試行の最中だ。保険料などを含めた費用は、1台当たり400万円ほど。液剤は最大20㍑積載可能で、約30分のバッテリー稼働時間で2㌶ほどの範囲に散布できる。
 横井代表は「人力で散布しようとすると何時間もかかります。作業時間が大幅に短縮でき、作業後に道路を泥で汚さないのも大きなメリットですね」と話す。

 新技術の導入により作業を効率化することで、働きやすい環境づくりにも繋がる。就労時間を原則午前8時~午後5時と定め、農閑期は土日休み、農繁期でも日曜日休みを保つようにしている。「自然を相手にする農業は、植物の成長サイクルや天候にうまく合わせて働くのが醍醐味であり、難しいところ。知識や経験とあわせて、効率化を図り、より良い仕事のリズムを構築していきたい」と話す横井代表。 
 今後の目標について、「新技術を積極的に取り入れることで、新規就農者が農業に従事しやすい仕組みを確立し、従来の農業のイメージを払拭したいです」と意欲を話す。
(井上・寺西)