農業経営の安定を届ける農業共済

令和元年8月4週号

農薬や化学肥料を使わず
リーフ茶の消費拡大を
豊橋市 ごとう製茶 後藤元則さん

 「体に良い茶だからこそ、一日の一息入れる時に楽しんでもらいたい」と話すのは、豊橋市小島町で多品種の茶を製造・販売する「ごとう製茶」3代目の後藤元則さん(61)。
 妻の紀生子さん(59)と息子の潤吏さん(34)の3人で、農薬や化学肥料を使用しない茶を280㌃で栽培している。


「茶葉の良さを広めたい」と後藤さん家族

 元則さんは、20代の時に茶業試験場(現・農研機構果樹茶業研究部門)の虫害研究室で、農薬について学んだ経験があり、農薬を使用しない茶の栽培に挑戦してみたいとの想いがあったという。
 紀生子さんも「農薬を使わないで作りたいが、茶は無理なのではないか」と思っていた。しかし、二人の想いは強く、潤吏さんの誕生をきっかけに、40㌃から始めた。「家族が自然の中で、楽しんで仕事ができていることが幸せです」と紀生子さんは話す。


茶葉に合わせていろいろな入れ方を楽しめる

 茶は立春から数えて88日目の八十八夜の5月2日ごろが1番茶の収穫ピークとなり、それより少し前の4月20日ごろから緑茶の収穫が始まるという。次に紅茶のファーストフラッシュ(春摘み)、その後硬くなった葉で番茶を作る。
 元則さんは「正しい入れ方なんてないですよ。茶葉の性質を知って、好みで出せばいい。夏は水出し茶の後味が爽やかでおいしいですね」と話す。

 また、茶離れしている消費者には「ペットボトルの茶だけではなく、茶葉で入れた茶を、ぜひ飲んでほしい」と元則さん。「急須にお湯を注ぎ、茶葉がじわじわ開いていく様子をじっと見ているだけでも、心が癒されることを伝えたい」と話す。
 紀生子さんは、飲み終わった後に出る茶殻を、そのまま捨てるのはもったいないと、茶殻を使った料理の開発を行っている。「茶を通して発見と感動、楽しい暮らしを提供したい」と目標を話す。
 潤吏さんは国産紅茶グランプリで2度の優勝経験があり、インドの紅茶産地も視察している。「より良い香り、深みのある味わいを求めて、毎年300以上ものロットの紅茶を、条件を変えて作っています。ごとう製茶の紅茶は市内のカフェで味わえます」と話す。(北﨑)