農業経営の安定を届ける農業共済

平成29年9月4週号

米作りから始める酒造り
商品への愛着深まる


 「田植えから始まるお酒のストーリーを大切にしていきたい」と話すのは、関谷醸造株式会社(設楽町)の7代目、関谷(せきや)健(たけし)さん(45)。同社では、社員自ら原料となる米作りを行い、地域の農業に根差した日本酒造りに取り組んでいる。


関谷さんと自慢の日本酒


 県内では初めて農業特区としての認定を受け、米作りに参入した。栽培面積は約22㌶で、県産酒造好適米「夢山水」を中心に栽培している。
 同町では高齢化が進み、米の作り手が年々減少している。地元の米の比率が約55%を占める関谷醸造にとって、自ら原料の米を作ることは、「地域の農業を守り、地域の特色を生かしたより良い日本酒造りにつながるのではないか」と考えた。


本社店舗には様々な種類の日本酒が並ぶ

 「大半の社員が未経験から始めたので苦労も多いが、自ら作業をすることで、自分たちの造るお酒にますます愛着が湧き、理解が深まっています」と関谷さんは話す。
 収穫した米は、比較的リーズナブルに楽しめる「可(べし)。」や、数量限定品の純米大吟醸「摩訶(まか)」など、幅広い日本酒に使用されている。
 近年では名古屋に、直営の飲食店となる「SAKE BAR 圓谷(まるたに)」をオープン。米作りから酒造り、そしてそのお酒を楽しむシーンまで、全てを提案できる蔵元を目指している。
 「日本酒の楽しさを多くの人に知ってもらい、皆さんのテーブルの上を豊かにしていきたい」と話す関谷さん。「今後も日本酒の可能性を追求し続けたい」と意欲を見せる。