農業経営の安定を届ける農業共済

平成28年9月2週号

搾乳ロボット導入から改善重ねて
-理想の経営へ着実に- 新城市(有)大東牧場


搾乳中の搾乳ロボットと森さん


 愛知県新城市作手で酪農を営む、有限会社大東牧場の代表・森富士樹さん(36)は、搾乳ロボットを酪農経営の基軸とし、基本的に家族経営のままで規模拡大できるよう経営改善に力を入れている。先日、名古屋で開催された全国酪農青年女性酪農発表大会では、審査員長特別賞を受賞した。


牛舎内で妻の智子さんと森さん

 森さんは、13年前に就農し、現在は搾乳牛110頭を父と妻と外国人研修生の4人で飼育している。省力的規模拡大経営を学ぶため、ドイツに1年、北海道に1年研修した経歴を持つ。
 9年前に畜産基盤再編総合整備事業の一環として援助を受け、搾乳ロボットを1台導入した。「新たに人を雇うことが難しい環境でも、ロボットを導入することで規模拡大が可能な現場を研修で見た」と森さんは、愛知の搾乳ロボット導入経営の先駆者となったきっかけを話す。


全自動で搾乳できるロボット

 ロボット導入当初は、設置工事の騒音で乳量が大幅に減少。導入後数年経っても、牛がロボットに慣れず、導入前の乳量までなかなか戻らなかった。そこで森さんは、搾乳ロボットメーカーにロボットの運用管理だけでなく、牛の個体管理や飼養管理などのソフト面の指導などを仰いだ。北海道までメーカーの指導を受けに行ったこともあるという。森さん自身でも、飼養管理や環境改善に取り組んだ。「機械の扱い方だけでなく、ロボットに合わせたエサの与え方、牛の環境改善が重要だった」と話す。

 ロボット導入7年後には、スウェーデンから講師を招いて説明を受けるなど、最新技術の習得と、改良を重ね続けている。「牛にロボットを覚えさせるまでが大変だった。今では牛が自分からロボットに入ってくれます。」と誇らしげに話してくれた。現在は乳量が元に戻り、更に酪農が楽しくなってきたという。
 今後の目標は、より牛が快適にすめる環境整備と、もう一台ロボットの導入だ。将来的には全てロボットによる搾乳を目指している。


MILK工房スコットの外観

 大東牧場の隣には、富士樹さんの母が経営する手作りジェラートのお店「MILK工房スコット」がある。6次産業化認定されており、移動販売で新城作手のイベントにも出品している。家族一丸となり酪農に携わっている。
 富士樹さんは最後に「自分のやりたいことをやるのが大切」と、酪友に向けてメッセージを発信してくれた。
(井上)


 MILK工房スコット(℡0536-37-2787)MILK工房スコットHPはこちらをクリック