農業経営の安定を届ける農業共済

平成28年6月2週号

-飼料販売会社が牧場をオープン-
酪農を深く知るために


飼料を持つ吉川さん

「他人がしないことにこそ挑戦したい」と話すのは、豊橋市神野新田町で株式会社丸吉商店の代表取締役を務める吉川邦博さん(45)と従業員の浅岡次郎さん(37)。吉川さんは今年2月に浅岡さんを中心に約40頭の乳牛を飼養する「まーる・らって牧場」をオープンさせた。

丸吉商店は主に、飼料・牧草・肥料・園芸種苗卸販売を手掛ける会社。2010年には創業80周年を迎えた。これまで飼料の研究とあわせて、より高品質の牧草などを世界各国から直接輸入することで、安価で信頼できる商品を開発し、販売してきた。


従業員の浅岡さん㊧と山口沙耶佳さん


近年の牛の価格と飼料の急激な高騰などによって、主な販売先である酪農家が減少の一途を辿っている。そこで、より酪農家の目線に立ち、その苦労を知るだけでなく、自ら経験することが会社のために必要不可欠であると考え、新規事業として酪農牧場を運営することを決意したという。


自ら、堆肥を運ぶ吉川さん

地元農業を盛り上げたい

この事業を始めるために、牛の頭数、飼う場所の確保など、多くの問題があったが、実現できたのは浅岡さんを中心とする情熱ある社員がいたからだと言う。「牛の中でも特に乳牛の飼育は難しく、大変だが、ここでの経験を得た社員にこそ、営業に勤めてほしいと考えていた。情熱ある社員がいたから、牧場オープンの実現までできた」と吉川さんは話す。


牛舎で掃除をする浅岡さん

まもなく、初めての夏を迎える「まーる・らって牧場」。乳牛は暑さに弱いため、夏場は食欲の低下や日射病などを招きやすい。「暑さによる牛への影響を少しでも和らげるには、牛を注意深く観察し、どれだけ気を配ることができるかだと考えている」と浅岡さんは牛を撫でながら語る。続けて、「牛は生き物。いい加減なことをすればすぐ病気になる。丁寧に世話をすれば、その分だけ応えてくれるので、やりがいがある。牛と一緒に成長し、初めての夏を乗り越えていきたい」と意気込みを語ってくれた。

今後の目標として、「地域に貢献するという会社理念を貫きながら、新たな挑戦をしていき、地元の農業を盛り上げていきたい」と吉川さんは、はつらつと話してくれた。


▽ホームページ=株式会社丸吉商店
(http://www.maruyoshi-shoten.com/index.html)
(山本)