農業経営の安定を届ける農業共済

平成27年8月4週号

根菜類中心で大規模・有機栽培 納得の土で育てる 


「すべての基本は土づくりから」と話す農事組合法人光輪の今村理事長


 愛知県の知多半島の先端に位置する南知多町で、野菜の有機栽培が大規模(20㌶)生産で行われている。「土を大切にした農業、これが私たちの農業です」と農事組合法人光輪の今村勉理事長(63)は話す。
 一般的に有機栽培は手間がかかるため1㌶程度の規模が限度といわれているが、光輪では20㌶もの広大な農地を管理し、根菜類を中心とした、タマネギ、ダイコン、ニンジンといった野菜をすべて有機自然農法で栽培している。「大規模に有機自然農法を行えるのも、『すべての基本は土づくりから』との考えで取り組んできたからだと思います」と今村さんは話す。
 光輪の農場はその多くが国のパイロット事業で造成された地区内にあり、頁岩(けつがん)と呼ばれる特殊な堆積岩の土壌のため、作物を栽培するには栄養が不足しがちで元肥を大量に必要とし管理が難しい。そこで、この地域で畜産業が盛んなことから良質な牛ふん堆肥を使い、微生物等も活用して土づくりを行っている。現在も光輪の土づくりを理解し協力してくれる畜産農家から提供される堆肥を使い取り組みは続いている。


雑草も多く生えている圃場が特徴

 光輪の圃場では雑草も多く生えている。これは作物と雑草を共生させることで土壌中の微生物が多様化し、特定の微生物や有害なセンチュウなどの増加を防ぐことで連作による障害を防ぐためのものだ。
 また土中の微生物バランスが保たれた畑では、雑草は野菜の栄養分を奪うものではなく、むしろ暑さ・寒さ・乾燥から野菜を守る役割を果たし、その後は立派な有機肥料にもなることから雑草と共存するように取り組んでいる。
 「安心・安全な作物を望む声は確実に多くなっているのは実感している。現在、タマネギ、ダイコンを外食メーカーに出荷していますが、私たちの農法は、自然の影響を受けやすく大量に安定生産することが大変難しいです。今、作っている作物をさらに安定して収穫することを目標にしたい」と今村さんは話してくれた。(田村)