農業経営の安定を届ける農業共済

令和8年5月4週号

宝石箱のようなブドウを追い求めて


小牧市で「小川ぶどう園」を営む小川龍之介(おがわりゅうのすけ)さん(30)は、約66㌃の圃場でおよそ20種類のブドウを栽培している。
 主力の巨峰に加え、シャインマスカットやコトピー、黄玉なども手がける。「実際に栽培してみて収量や品質、販売時の反応を検証し、採算性の高い品種に絞り込んできた。作ってみて分かることが多い」と語る。


圃場の巨峰


農業の道を志したきっかけは、農業大学校での経験だ。もともと実学を好む性格で、果樹専攻として学ぶ中、ブドウ栽培の研修が転機となった。「箱に詰められたブドウが宝石箱のように見えた」。見た目の美しさと作業の楽しさに強く惹かれ、ブドウ農家を志した。
栽培で重視しているのは葉の状態の観察だ。ブドウは温度変化に弱く、ダメージを受けやすい作物で、その変化は葉に表れやすい。異変を感じた時には、必要な資材などを状況に応じて迅速に投入する。また、品質向上のために房数を制限し、密度の高い実を育てる工夫も行っている。
これまでで印象的だったのは、自身の感覚と市場の評価に差があることだ。自身は小ぶりで味に優れたブドウを評価していた一方で、消費者は見た目の大きさを重視する傾向があった。そこで房のサイズを一回り大きく調整したところ、評価が大きく変わり、これがきっかけで多方面からのアプローチにもつながった。「商売は相手があって成り立つものだと実感した」と振り返る。


今後の目標は、ふるさと納税やEC(電子商取引)サービスを活用した取組だ。「日本の食は世界でも評価されている。だからこそ、それに見合う価値で勝負したい」。宝石箱のようなブドウをコンセプトに、1房あたりの単価向上を目指す。そのためには、品質のさらなる安定が不可欠で、房の空洞化を防ぐ徹底した管理を行っていく。
小川さんは「自分はよく個性的だと言われます。周囲にとらわれず、自分の興味に素直になって、それぞれのペースで進んでいけたらいいなと思います。」と語ってくれた。


圃場で摘粒の様子を見せる
小川さん