農業経営の安定を届ける農業共済

令和7年7月4週号

1月に届く、伝統の味/歴史をつなぎ生まれた超極早生種


東海市でタマネギ75㌃、カリモリ13㌃、落花生12㌃を栽培する坂尚芳さん(62)は、たまねぎ原種保存部会の会長として、伝統品種「養父早生(やぶわせ)」の保存と安定供給に取り組む。 
地域ブランド「たま坊」の主力品種でもある養父早生は、1月から高い秀品率で出荷できる超極早生種。還暦を過ぎ、種子の安定確保とブランド再興を目指している。


タマネギ畑での坂尚芳さん


坂さんは、かつて前職で成果を競い合ったが、地元での協力し合う農家の姿に衝撃を受け、農家へ転身した。現在、妻・みゆきさん(58)と東海市で農業を営んでいる。主に栽培しているのは、超極早生種のタマネギ「養父早生」や「愛知白早生」など。中でも養父早生は、1月という極めて早い時期から出荷できるのが特長。そのため、旬の先取りができ、評価が高い。
「地元の先輩農家が戦前から選別・採種を重ね、つないできてくれたおかげで今日の優秀な超極早生種がある」と坂さん。先人の努力によって長年受け継がれてきた種とそれを育む地域の風土が、今の食を支えていることを実感しているという。


日本の園芸品種の種子の多くは海外からの輸入に依存しており、タマネギも例外ではない。坂さんは、「海外生産の種は供給量や品質が不安定になるリスクがある。地域の在来種を守ることは、種の自給率向上にもつながる」と語り、伝統品種の保存にも力を入れている。
しかし、近年は都市開発による農地減少に加え、昨今の気象状況の変化や部会員の減少といった課題もあり、「温暖化による異常気象で安定した生産が難しく、開発とのはざまで優良農地の確保も困難」と坂さんは語る。
坂さんは、還暦を機に収入保険に加入。まもなくして食道がんを患ったが、手術と治療を経て畑に復帰した。「農業情勢の不安から保険に入ったが、まさか自分の病気で支えられるとは」と振り返る。
現在は、愛知経済連やJA、行政と連携し、「尾張」の名を冠した商標登録を進め、タマネギで地域ブランド再興に挑んでいる。


新玉のみずみずしい中にも旨味と甘みがぎゅっと凝縮されている。生食のサラダにもおすすめ