農業経営の安定を届ける農業共済

平成30年1月4週号

固形せっけんや化粧品として販売
米ぬかを有効活用 弥富市 鍋八農産


商品を手に八木さん夫妻


 玄米を精米する際に大量に発生する米ぬか。肥料やシイタケの原木への利用法があるが、それ以外の利用法を模索している農家がいる。約100㌶の水稲を作付けしている、弥富市の有限会社鍋八農産、代表取締役の八木輝治さん(47)と淳子さん(47)夫妻は、米ぬかのせっけんや化粧品を商品化し、販売している。

年配の知恵がヒントに

 「最初は、米ぬかやもみ殻を、何か別の形で残したいというところから始まりました」と輝治さん。米ぬかを触っていると手がきれいになる、という年配の方の知恵から、石鹸への米ぬかの利用を考えたという。

 石鹸業者と協力し、米ぬかから抽出したエキスを原料とした、ボディソープやハンドクリームを商品化し、販売に乗り出した。そんな商品のなかで、特に商品化に苦労したのは固形石鹸。「最初に業者から届いた製品サンプルは、固形石鹸なのに柔らかくて…」と淳子さんは振り返る。


鍋八農産が手掛けるせっけんや化粧水など

 固形石鹸は、他の液状の商品とは違い、米ぬかエキスではなく米ぬかを直接原料に利用する。そのため、米ぬかの油分によって石鹸が固まりにくいという課題があった。他にも、米ぬかに小さな虫が付いてしまい、固形石鹸の中に入ってしまうこともあった。石鹸業者と試行錯誤を繰り返し、理想的な製品化にたどり着くまで一年はかかったそうだ。
 いくつもの課題を乗り越えて作られた米ぬか石鹸のセールスポイントは、自然由来の成分と、安心安全。アレルギー反応が起きないように、米ぬか以外の成分はなるべく入れていない。「私たちは、減農薬を徹底し、エコファーマーの認定をとっています。肥料一つにもこだわり抜いたお米から取れる米ぬかだからこそ、人の体に直接付ける石鹸に利用できるのだと思います」と2人は話す。
 今後の課題は販路の拡大と知名度の向上。現在はイベントやデパートで開かれる物産フェアへの出展が中心だが、今後は、インターネットショッピングサイトへの進出も準備中だという。ギフトセットでの販売も考えており、贈答用としての販路も見据えている。(石黒)
 ▽問い合わせ=有限会社鍋八農産(℡0567・68・1367)