農業経営の安定を届ける農業共済

平成29年8月2週号

伝統行事「虫送り」を次代へ
米の大切さを伝える機会に


 「お米の大切さを子どもたちに伝えるために、虫送りという伝統行事を続けていきたい」と話すのは、祖父江虫送り牧川実行委員会の会長の海田幸男さん(69)。
 海田さんは、年間約25万鉢を生産している鉢花農家。地域の伝統行事を守る活動もしている。


実行委員会の会長の海田幸男さん

 虫送りは、県が無形民俗文化財に指定しているもの。稲を荒らす害虫を鎮めることを目的に毎年開催されている。今年も7月8日に祖父江町牧川地区で開催され、地域住民・実行委員・見物客など400人以上が集まった。

 虫送りは日暮れ頃から始まる。高張りちょうちんを先頭に、実盛(さねもり)人形やたいまつを持った一行は、半鐘と太鼓の音に合わせ進み、集落内を練り歩く。水田の虫を追いながら、集合場所の虫送り場に到着すると、たいまつを一つの場所に集め、燃え盛る炎の中に実盛人形を投げ込み、行事は終了となる。


たいまつを持ち水田を練り歩く

 虫送りに登場する人形は、平安時代末期に活躍した武将・斉藤実盛のこと。戦場で稲の切り株に馬の足をとられて落馬し敵に打ち取られた。それを恨んで稲を荒らす害虫になったという。その怨霊を鎮めるために虫送りが始まったという。
 祭りに必要な麦わらや古い竹、菜種がらなどの材料を集めるのが年々大変になっていて、「地域の協力が不可欠だ」と海田さんは話す。


炎の中に実盛人形をくべて、虫送りは終了となる。

「自分が小さい頃は、今のように白米を食べることができず、いつも麦飯を食べていた。お米1粒がとても貴重だった。実行委員として大変な事も多いが、お米の大切さを子供達に伝えるために、今後も地域一体となって続けていきたい」と話してくれた。