農業経営の安定を届ける農業共済

平成28年7月2週号

おいしく食べて山里保全 豊田のジビエを全国へ
豊田市「猪鹿工房山恵」


シカ皮の前でジビエについて話す鈴木さん


 「豊田のジビエ(野生鳥獣肉)を全国展開していきたい」と嬉しそうに話すのは、豊田市足助地区で、今年1月にオープンした「猪鹿工房山恵」を管理する鈴木良秋さん(64)。
 猪鹿工房山恵は、主に捕獲したイノシシを食肉として活用する会社「株式会社山恵」を地元有志14名で設立し、6次産業化の認定を受けてオープン。ジビエの加工・販売をしている。


運び込まれたイノシシを丁寧に洗浄する様子

 豊田市は自動車産業で有名だが、面積の約70%を山林が占めており、猪や鹿による農作物の被害が多い。これまでは獣害対策として捕獲した猪や鹿は、処分されてきたが、獣肉を有効活用し、猪や鹿の適正な数の管理をすることが、山里の保全につながると考えた。

おいしく食べる工夫を

 捕獲の連絡が入ると、一時間以内に工房に運び、熟練の職人が解体する。「ジビエは臭みのない肉や衛生管理上から放血の仕方が重要だ。自然が相手なので、安定供給が難しく、捕獲する時期、大きさ、年齢、雄雌の違いでも肉質が違う」と鈴木さんはジビエ経営の難しさを語る。


熟練の職人により手早く解体される

 工房では精肉だけでなく、「猪肉まん」と「猪肉100%フランク」の加工品も販売中。現在は「猪肉入り餃子」を試作中だ。工房横には、獣肉・牛肉・豚肉の食べ比べができるバーベキュー場を設営予定。皮を使った加工品の販売も検討中である。
 イベントに積極的に出店する一方で、大学と連携し、猪の住む山里保全調査も行っていく。「山里の保全となるジビエのあり方を世の中に提案していきたい」と熱意を語ってくれた。


牡丹鍋もおいしいが、ブロック肉はぜひステーキで

問い合わせ先=猪鹿工房山恵(☎0565-98-0836)
木・金休み、9時~16時営業
HP:猪鹿工房山恵
(吉見)